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パスカル「パンセ」-夢と人生 [パンセ]

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パスカルが夢について書いている。私は、素人考えだが、夢というのは現実生活の反映だと思っている。例えば、パリでフランス語学校に通っていたとき、先生から「フランス語で夢を見るか」と聞かれたことがある。答えはOuiだ。これは何も私が、フランス語がよく理解でき、ペラペラに話せるということではない。フランス語がよく理解できず、下手なら下手なりに喋る私が夢のなかにも登場するというに過ぎない。パスカルは、夢と現実の人生の違いについて、さらにおもしろいことを言っている。

 

「もしわれわれが、毎晩同じことを夢に見ていたなら、それは、われわれが毎日見ているものごとと同じ程度に、われわれに影響を与えることだろう。そして、もしある職人が、毎晩十二時間ぶっ続けに、彼が王様であるという夢を確かに見るのだったなら、彼は、毎晩十二時間ぶっ続けに職人であるという夢を見る王様とほとんど同じようにしあわせであろうと私は思う。

 

「もしわれわれが、毎晩、われわれが敵に追われ、その苦しい幻想に悩まされている夢を見、また、毎日、たとえば旅行をしている時のようにいろいろ違った仕事をしていたとするならば、われわれは、それがほんとうであったのと同じ程度に苦しむことだろう。そして、眠ることを恐れることだろう。ちょうど、実際にそうした不幸にはいるのがこわくて、目ざめるのを恐れるのと同じように。そして、実際に、それは現実とほとんど同じくらいの苦しみを与えることだろう。

 

「ところが、夢というものはすべて異なっており、そして同じものでもいろいろに変わるので、そこで見るものは、さめていて見るものよりはずっと影響を与えることが少ないのである。これは、さめていて見るものには連続性があるからであるが、それも、変わることが決してないほど連続的で、均等的であるというわけではない。ただ、旅をしている時のようにたまに起こる場合を除けば、変わり方の急激さが少ないというだけのことである。それだからこそ、旅をしている時には、「私は夢を見ているようだ」と人が言うのである。なぜなら、人生は、定めなさがいくらか少ない夢であるからである」(B386SL803)。

 

«Si nous rêvions toutes les nuits la même chose, elle nous affecterait autant que les objets que nous voyons tous les jours. Et si un artisan était sûr de rêver toutes les nuits, douze heures durant, qu’on est roi, je crois qu’il serait presque aussi heureux qu’un roi qui rêverait toutes les nuits, douze heures durant, qu’il serait artisan.

 

Si nous rêvions toutes les nuits que nous sommes poursuivis par des ennemis et agités par ces fantômes pénibles, et qu’on passât tous les jours en diverses occupations, comme quand on fait voyage, on souffrirait presque autant que si cela était véritables, et on appréhenderait le dormir comme on appréhende le réveil quand on craint d’entrer dans de tels malheures en effet. Et en effet il ferait à peu près les mêmes maux que la réalité.

 

Mais parce que les songes sont tous différents, et que l’un même se diversifie, ce qu’on y voit affecte bien moins que ce qu’on voit en veillant, à cause de la continuité, qui n’est pourtant pas si continue et égale qu’elle ne change aussi, mais moins brusquement, si ce n’est rarement, comme quand on voyage, et alors on dit : Il me semble que je rêve. Car la vie est un songe, un peu moins inconstant.»

 

つまり、夢よりも現実の人生の方が、連続性、反復性が強く、それゆえにわれわれへの影響が大きいということだ。ただ、そうした程度問題を超えて、さらに両者の間に何か本質的な違いがあるというわけではない。最後の「人生は、定めなさがいくらか少ない夢である」というのは、鴨長明の「行く河の流れは絶えずして・・・」とも相通ずるものが感じられておもしろい。

 

*写真は、フランス、クレルモンフェランのパスカル通りにて。夏の土曜日の朝、若者が立ち話をしていた。

 


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コメント 1

匿名

「つまり、夢よりも現実の人生の方が、連続性、反復性が強く、それゆえにわれわれへの影響が大きいということだ。」

パスカルは全く反対のこと言っていませんか?
by 匿名 (2016-04-17 20:36) 

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